エンガディン☆「天国に一番近い村」Soglio~ソーリォ~

Ciao tutti! エンガディンよりアラフォーハイジ吉原です。

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今日は サンモリッツエリアにすでに何度か来てくださっているSご夫婦と

イタリア国境にほど近い村 Soglio~ソーリォ~に行ってまいりました(^^)/

かつてセガンティーニが「天国に一番近い村」と称賛した(と言われている)

この街は サンモリッツからポストバスで約2時間。

エンガディンの端の街、Maloja(マローヤ)とイタリアを結ぶブレガリア谷の

急な山の斜面にはりつくようにたたずむ 本当に小さな山村です。

 

イタリアに近い事と 険しい山の南斜面に突如現れる のどかな街の風景に

セガンティーニは天国を感じたのでしょうか。

 

街並みは 今も中世の面影、そして当時からのこの地方の家屋の特徴をよく残しています。

全体的にグレーの瓦屋根(この地方で採掘できる石を板状に切って使っている)の家々が

正に身を寄せ合うように 斜面の小さな平原に立ち並んでいます。

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「よく こんなところに村を作ったね」

との質問をよく聞きますので

ここで 吉原が知る限りでの理由をお伝えしますね。

 

結論から申しますと 中世 あるいはそれ以前の時代では

谷底よりも山の上の方が 主要な居住区だったのです。

その理由は 主に三点。

1.気候的理由

2.安全・戦術的理由

3.健康・衛生的理由

 

1.気候的理由について:

アルプスの山は標高が高い。その分 谷は深くなります。

谷が深いということは、山の陰になって日照時間が限られる場所が多いのです。

特に緯度の高いヨーロッパでは、夏こそ朝5時から夜10時まで明るいですが

その分 冬の日照時間なんて 本気で鬱になるレベル。

なので人々は 明るさと温かさを求めて 上に上に上がっていった…

特に 流通が未発達で貧しかった当時は 基本自給自足。

野菜などの食べ物の生産量は 日照時間で大きく変わりますから

当時の人々にとっては死活問題だったわけですね。

特に標高が高く湿度の低いスイスでは ただでさえ食物が育ちにくいですし。

 

2.安全・戦術的理由:

何世紀も 隣国との領土合戦が繰り広げられていたヨーロッパ。

特にこの地方は イタリアとの国境に近く

常に戦場の最前線になる運命にありました。

山の上に居を構えることで それが天然のお城の役割を果たし

市民を守りやすかったと共に 谷底から迫る敵も発見しやすかったのでしょう。

そんな視点で見ると Soglioの街は確かに

直下の谷底から見上げても 全然その存在が見えないんです。

木々に隠れて あんなところに街があるとは

知らないとわかりません。

森が街を隠してくれるように…そんな利点も考えて

あの地を選んだのかも知れないですね。

 

3.健康的理由:

湿気というものは 下にたまる傾向にあります。

だから 谷が深いということは 日当たりが悪い他に

湿気がたまりやすかった、ということ。

医療や衛生技術が今のように発達していなかった当時

一度感染症が流行ると あっという間に蔓延して

町全体が壊滅する危険もありました。

ペストの大流行…など 学生時代に習ったのを思い出しますね。

暗~く じめっとした所にいつも住んでいたら…

どれだけ健康にリスクがあるか 想像に難くないですね。

 

スイスの長い歴史を想像しながら訪れると

観光も一味違ったものになると思われます♪

 

…てことで 前置きが大変長くなりましたが、、、

そんな 歴史の痕跡を今もなお色濃く残すSoglioの街を散策です☆

 

ゆっくり歩いても 30分程度で全ての路地を回れるほど 小さな村。

細路地の石畳が とても味があります。

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石畳をよく見ると ちゃんと雨水が流れるように

緩やかな傾斜が作られており

当時の人々の生活の工夫が感じられます。

あの頃は 道路の中央に水を集めていたのですね。

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街の奥、最も日当たりのいい場所にあるのは…

ザ・Palazzo Salis~パラッツォ・サリス~!

17-18世紀には この地方のみならず

私、吉原が住むイタリアのTiranoエリアから

エンガディン地方を含むグラウビュンデン州全体を治めるほど

栄華を極めた貴族 サリス家のお屋敷です。

元々は コモ湖畔の小さな村出身の一族だったのですが

国境に近い地の利を生かし 当時の税関の仕事をゲットしたことで

急速に勢力を伸ばしたのです。

…要は、金取りです。

おそらく、かなりの金額を袖の下にも入れ込んだに違いない。

 

ここは今 ホテル兼 日中はガーデン・レストランになっており

お屋敷の広大なお庭にて青空の元 貴族気分?でランチをいただけます。

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21世紀 日本の貴族来訪☆

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大きな青リンゴの木が ちょうど影を作ってくれて

快適な環境でいただけます。

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↑ こちらは ここブレガリア谷特産の栗を練りこんだ栗パスタ。

街の周りにも栗の木がたくさん植わっています。

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↑ 奥様の前にあるのは、子羊肉のラグー(煮込み)

ほろっほろの柔らかさと 全然ラム臭くなく シェフ、いい仕事してます!

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↑ そば粉を使ったニョッキ。

このエリアはヨーロッパでも数少ない そば粉を食す文化があるのです。

こちらのそばは、殻ごと挽くのでよりワイルドな風味が強く

個人的にはこちらの方が好み…なくらい、美味しいですよ♪

 

彩りも良く 美味しいのでSoglioでのランチはここがお勧めですね♪

 

広大な庭では 今年新しくお目見えした

楽しいものを発見☆

庭の奥に鎮座する 樹齢ウン百年の立派な針葉樹の幹に昇ることができる

はしごチェアです♪

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小柄ながら ぱっぱとのぼるS奥様。

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下から見た枝ぶりが壮大。

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↑ 一緒にポーズのイメージは 貴族のマダムです。親子か(笑)

 

高いところだと また違った視点から街を眺められて 楽しかったです。

…私達しか やってる人はいませんでしたが(^^;

行かれた時には のぼってみてはいかが♪

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ノリのいいお二人と こんなこともしてみました。

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街角に飾ってある 当時の写真と 同じ立ち位置での再現☆

多少リノベーションはしてありますが

昔の街並みがほぼそのまま残っている風景…

日本ではもはや稀有なので 貴重ですね。

 

一日おつきあいくださったSさま

ありがとうございました(^-^)/

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